1.AI
AI(人工知能)とは、人間の脳が行うような学習・推論・判断といった知的活動をコンピューターで実現する技術やシステムである。
生成AIとは、学習したデータをもとに、テキスト・画像・音声・動画等の新しいコンテンツを創造・生成できるAIの一種である。
最近、AIや生成AIは急速に進化し、人間の仕事を奪うことになるのではと危惧されている一方、現実に人の仕事が奪われている職種や仕事もある。
知的財産業界においてもAIを使った特許調査や生成AIによる翻訳や明細書作成、さらには生成AIによる技術的課題をクリアするためのアイデア出し等が既に一部の企業で実践されている。
このような状況下において、特許調査・特許情報分析企業である、サン・グループ所属の株式会社ネットスや弁理士法人藤本パートナーズは、既にグループ内にAI検討委員会を立ち上げ、今後AIや生成AIを業務に如何に利用・活用するかを検討してきた。
その結果、グループとしては現時点では下記のような戦略思考の基に知財業務の高度化と高質化を目指すこととした。
(1)AI対応
①AIは、大量のデータの検索や分類選別等は得意であるが、発明の捉え方や戦略的アウトプットには弁理士や
サーチャーの専門性が必要である。
②AIは、「一を百にする」ことは得意であるが、「ゼロから一」は人間の役割・使命である。
従って、出願受任時の発明の評価や企業のバックグラウンドを考え、総合的見地からその発明の出願戦略を
考えることはサン・グループの弁理士の使命と考える。
同様に特許調査(例えば侵害性調査)を行う際にも依頼された企業の調査目的やそのバックグラウンドを考え
調査戦略を考えることは、ネットスのサーチャーの使命であると考える。
(2)AIとアウトプット
我々は、AIは新しい付加価値を生み出すための道具という視点で捉え、AIという道具を使って如何なるアウトプットを生み出し依頼企業に提供できるかをグループの命題と考えている。
(3)AIの回答の妥当性評価と弁理士・サーチャーの業務
サン・グループは、AIや生成AIを道具として利用・活用するが、AIが回答した内容の妥当性を弁理士やサーチャーが評価し、その結果自ら考えた高度で高質な業務や提案・指導を依頼企業に提供するものである。
(4)AIはサン・グループのスタッフとして位置付け
サン・グループは、常に企業の利益代表として企業に密着して、経営や事業戦略を理解したうえで発明の評価や調査の依頼内容を評価し、企業ニーズに対応して高度で高質な業務を今後とも遂行することを基本理念とし、その際にAIや生成AIをスタッフの一員と位置付け、大量のデータの収集・分析を効率的かつスピード感をもってAIで処理し、そのデータを活用して出願戦略や知財紛争・知財訴訟を弁理士が戦略的に行うものである。
同様に特許調査についてもAIを活用して情報収集・分析を行い、調査目的に応じた高質な調査結果や提案を企業に提供するものである。
2.小括
今後、益々AIや生成AIが進化するであろうが、私共、サン・グループはこれらを道具として活用し、さらに付加価値のある業務を依頼企業に提案・提供することを使命として自らの価値の向上に努力いたしますので、次年度以降もよろしくお願いします。








